その連絡は、年の瀬も差し迫った12月27日、駅で電車を待っている時に訪れました。

「あ、神原さんですか?○○○警察署ですが」

○○○といえば神奈川県のとある街で、神原さんが大学時代に住んでいた場所です。
その名前に例えようも無いほどの懐かしさと、隠しきれない一抹の不安を覚えつつ、
電話を受けてみると。

「あのですね、神原さんが2年前に出していた自転車の盗難届けなんですが」
「は、はい」
先日その車両が見つかったんでね、引き取りに来れませんか


神奈川から、自転車を、運ぶ。
無理だろ。


【自転車を取ってきた1 ~無理ゲーの予感~】


もういちど確認させていただきますが、○○○は神奈川にあります。
そして私は現在茨城に住んでいます。概算距離でだいたい80kmほど。
……受け取った後どうすんだ、これ。

もうこの時点で無理ゲー臭がハンパないですがさらに加えますと、
自転車は盗難後2年が経過し、そして(恐らく)乗り捨てられた代物です。
およそまともに走行できる状態とは考えられません。

さらにさらに、年末年始ということで、開いている自転車屋があるとは思えない。
受け取ったとして、その自転車をどうするのか、皆目見当もつきません。
ああ、もう廃車にしたくなってきた。廃車にする要素しか見つからない。


しかし、この自転車というのが3年ほど乗り回していた代物で、
大学入学の時からずっと活躍してくれていた、まさに相棒と呼ぶべき存在。

それが今になって見つかってくれたのに、見殺しにするのも気が引けます。
とりあえず見に行ってみて、もう再起不能そうなら廃車にしてもらう方向でお願いしました。


ちなみに、現在茨城住みだということを伝えたら、
電話先の警察の方に「えっ・・・」って感じで引かれました。どういうことですか。


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続きます。
久々の長文の予感に今から恐怖の色が隠せません。